プラネテスのあらすじ・ネタバレ・感想まとめ

スポンサーリンク

今回は「プラネテ」あらすじ・ネタバレ・名言・名シーン・評価をご紹介。ネタバレを含んでおりますので、まだ観られていない方はご注意ください。

プラネテスとは?

プラネテスとは

プラネテスは1999年から2005年にモーニング誌で掲載されていた幸村誠による作品。また、それを原作にした谷口悟朗監督のテレビアニメ。個性的で破天荒なキャラクター。少年漫画でありながら、丁寧で見やすい絵柄。練られた、独特の静謐な宇宙観が、よく構成された物語の中で、生き生きと息づいています。

プラネテスのあらすじ・ネタバレ

出典:RENOTE [リノート]

主人公はスペースデブリを回収する3人の業者、フィー、ユーリ、そして八郎太。それぞれに国籍も生い立ちも違い、異なる目標を胸に掲げる若者たち。舞台は2068年の宇宙。乗り組む宇宙船は老朽化も進み、取り組むスペースデブリは際限なく遺棄される、そんな宇宙空間では回収作業は心身共に消耗。さらに放射線障害や磁気嵐などといった危険とも、隣り合わせの労働に位置しています。いわば宇宙のくず鉄拾い。しかし、彼らにも夢があります。

例えば、フィーはたまの休暇には息子のアルバートと旦那さまと穏やかに暮らし、草野球や学校の送り迎えなど、平和な日常を楽しみます。アルバートは9歳。大の動物好きでしょっちゅう犬、猫を拾ってきてしまいます。拾った犬のしつけのことや、仕事のことで悩むフィーは一見普通の母親のように見えます。

しかし、ずっと回収を続けている軌道に、大規模な紛争が起こり、大量のデブリがまき散らされたとき、彼女の胸には激しい怒りが。戦時航行規制の勧告を無視して、危険宙域で回収を続け、従業員3人は逮捕状を出される羽目に。回収船は攻撃を受けてあちこち破損し、拠点軍港が攻撃されて大破。2万5千tのデブリが軌道上にまき散らされます。なすすべもなく呆然とたたずむフィーとユーリ。ジャーナリストから、妙にヒロイックなキャラクターとして誤報され、皮肉な思いで休暇を取ります。

宇宙の日常

宇宙に滞在しているときには、空気汚染を防止する目的で、宇宙船の乗組員はたばこを吸えずに我慢しています。宇宙港には若干の喫煙室が備えられていますが、過激な環境保護テロリストに狙われて、喫煙室は爆破。愛煙家はたばこを吸えなくなってしまいます。一本のたばこを吸えないがためにイライラが募るフィー。そんな時、おりよくテロリストの通信衛星が、高度500kmの国際軌道宇宙港の破壊を目標として、接近しつつあるのに遭遇します。ここであったが百年目とばかり、回収船を駆って、後を追うフィー。攻撃目標に近づく衛星に、船ごと体当たり。宇宙港は助かるのか!そしてフィーの命運は?

広い宇宙に生きる人には、さまざまな人生があります。月面の衛星都市には船乗りのための、宇宙生理学研究所とその付属病院もあり、骨折した人や放射線障害などの人がやってきます。月面では地上と重力が違うため、骨折もしやすく体も弱りやすいのです。八郎太はトレーニングをさぼっていたため、筋力が落ちて骨折。低重力障害患者として入院します。そこで会ったのが月面都市で生まれたというノノ。12歳でかなりの高身長。そして、当然ながら低重力障害を背負っており、おそらく一生涯を月面で暮らさなければなりません。

「なあ、フィー。神様みたいなのがいるとしてさあ たぶんそいつオレ達人間が嫌いなんだろうな 自分たちの星の資源をガツガツ食べつくしたあげく こんな所まできてレアメタルやらヘリウム3やら手前の物みたいな顔で掘り出して おまけにくず鉄の置き土産ときたもんだ ロコツに帰れって言われてんのに気づかない迷惑な客なんじゃないかな」引用:プラネテス

八郎太は骨折が治癒するまですることもなく、ノノとトランプしたり、雑誌の貸し借りをするうちに、なぜか無常感につまされてフィーに吐露します。

「月が故郷なんてすごいでしょ 自慢なんだ ー(中略)ー 地球は暮らしたい所じゃないよ 行ったことないから行ってみたい所」引用:プラネテス

地球を見たことも、大気に触れたこともなく。作り出される人工環境で、ドーム内の都市に住み、荒れた月面クレーターをまだ見ぬ海に見立てて空想する少女。八郎太の複雑な心境を知らず、ノノの澄んだその瞳には、でこぼこだらけのクレーターが、美しく波の寄せる、青い水面に見えているのでした。

天駆けるグスコーブドリ

グスコーブドリとは、宮沢賢治の童話、グスコーブドリの伝記に出てくる登場人物です。貧しい木こりの家に生まれ、天候不順が続いたある不作の年に、両親を失い、妹とも生き別れてしまいます。なんとか成長して、学問を修められる身分を得て、ある火山科学者の弟子として就学。高い志を持って学びますが、やはり冷夏による不作が続いた年。グスコーブドリは火山を噴火させて天候の回復を謀ろうと、学者たちに提案します。このまま不作が続くと、たくさんの子供たちが両親を失い、路頭に迷うことを心配したのです。学者たちの制止をよそに、グスコーブドリは気球に乗って旅立ちます。

この、グスコーブドリからのエピソードが、物語の中に挿入されます。木星行還船の新造エンジンを作っていた技師、ヤマガタ。その死が、殉死であると妹には感じられます。しかし墓碑の前で詰め寄る妹に、上司であるロックスミス氏は言うのでした。君の兄、ヤマガタは、グスコーブドリであったのだ。科学を愛し、死を恐れず、誰にも止めることは出来なかったと。

透徹した強い意志。生存への希薄な願望。ロックスミスもまた、事故が起きることも顧みない、科学という名の熱情を知っていたのでした。さらに、「サキノハカという黒い花」というタイトルも登場。この編では、宇宙防衛戦線がフォン・ブラウン号に乗り込んで、乗組員の選考テストを妨害。フォン・ブラウン号も破壊しようと企みます。「サキノハカといふ黒い花」といっしょにという詩も宮沢賢治の詩作にあり、淡々と旧弊の形を批判し、新時代の到来をたたえる賛歌です。

このように、物語は宇宙開発の黎明期を物語っているのに、夢あふれるSFアドベンチャーというよりは、あくまでもブルーカラーの目線。ちょっぴり疲れたサラリーマンのような気配すら、感じられます。来る日も来る日も地道にデブリを拾い続ける。そして、紛争が。

「そりゃあ気持ちはわかるよ フィー でも俺らにどーしろってのさ?相手は軍隊なんだぜ?(中略)オレ達が10年かかって拾うデブリを10分でバラマく」引用:プラネテス

そして、防衛戦線の頭領の

「木星系の資源もまた宇宙開発先進国のものになる 我々は何も変わらない」引用:プラネテス

という言葉も、資源の少ない国の住人として共感を禁じ得ないのです。

まだ非現実的な、しかし奇妙に現実の腐敗を覗いたかのような、微妙な後味の悪さ。それが、物語にヴァーチャルな重みを与え、舞台が一般的でない宇宙空間であるにもかかわらず、人間の性質や悩みは等身大で変わりはないのだと語りかけてきます。

アイデンティティーの危機

人間に共通の悩みである、生きるとは何か、命とは何か、そして死は、夢は、なんのためなのか。答えのない問いと向き合う八郎太。その姿はまるで、アイデンティティーの危機を迎えているティーンエイジャーのように、痛ましく、可憐でさえあります。シリアスに陥りがちなを暖かく、時にはコメディタッチで茶化す、八郎太の父ゴロー。自称宇宙人の男爵に新人の田辺など、まわりの人たちはユーモラス。

「ー(前略)ーはがねを鍛えるやうに新しい時代は新しい人間を鍛へる紺いろした山地の稜をも砕け銀河をつかって発電所もつくれ」引用:プラネテス / 新編 宮沢賢治詩集 新潮文庫

この広い宇宙に向かって進むために、日々葛藤し、前進し、自分なりの答えを見いだそうとあがく。その闘いも苦悩もまた若く、輝かしく、過ぎ去る一瞬の栄光にも似て、貴重な輝きを放っています。

プラネテスの感想

プラネテスの感想

もしも、プラネテスに少年少女向きの冒険小説のような、すかっとさわやかな物語を期待していれば、その期待は報われないかもしれません。しかし、もしもあなたが、ずっしりと手応えのある大人のSFドラマを求めているなら。読んだ後、しばらく余韻の残る、叙情的な物語を読んでみたいと願っているなら。プラネテスは、きっと期待に応えてくれるでしょう。魅力的なキャラクターたちは、あなたを価値ある内的宇宙空間に滞在させて、すばらしい発見をする手伝いをしてくれるでしょう。グスコーブドリの気球に乗って、あなたもプラネテスの銀河へ旅してみませんか?

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク